ニッポンのきっと大丈夫の新しい時代が始まります
検査がひと段落し、先生に呼ばれる。
「入院しましょう。」
入院、、、
そのたった2文字が、私たちの胸に、ぐさっと刺さった。
入院、、するんだ。
また、入院、、。
冷静に考えれば、嘔吐や変な動きが続いているのだから、入院したほうがいいに決まっている。
先生にしっかりと診てもらいたくて電話したのも私。
ここへ連れてきたのも私たち。
入院になるかもしれない
そんなこと本当はよくわかっていたはずなのに、頭の中には、どうか家に帰れますようにと願いたい自分がいて、入院が現実になった今、悲しくて仕方がなかった。
やっと退院できたあの日から11日。
虹翔は、再入院になりました。
病棟へ行くと、
「おかえり〜」
と、笑顔で迎えてくれる看護師さんたち。
帰ってきたくなかった、、と思いながらも、こんな状況なら、ここへきて正解だなとも思った。
今はここが、家より安心できるところだったのかもしれない。
看護師さんたちにショックだと話しながらも、よろしくお願いしますと言った。
ある看護師さんに、
「みんな少しずつ、ここへ来る日が空いてくるんだよ」
と言われた。
すぐに再入院する子は、珍しくないらしい。
そっか、たった11日だったけど、お家に帰れただけ良かったのかな。
虹翔はここへ戻ってきて、何を思っただろう。
ちょっと長いお出かけに行って帰ってきた、僕のお家。
「ただいま」
そんな風に思っていたかもしれないね。
先生から今日の検査結果について説明があった。
今日とった脳波を見ると、前回とは全く違う波形です。
今は、脳が活動しすぎている状態です。
あの動きは、発作の可能性があります。
内服薬を変えて様子を見ていきましょう。
もしかしたら、24時間のモニタリングをするかもしれません。
それから、レントゲンを見ると、腸が機能していない状態です。
これに関しては、抗菌薬かエレメンタルフォーミュラが原因だと考えられます。
週末は薬を止めて様子を見てみましょう。
PICUに入って、病棟へ戻ってきてから、虹翔の脳は、常に抑制されている状態だった。
なんとか脳に刺激を与えて、少しずつでも脳が動くように色々やってきた。
歌を聴かせたり絵本を読んだり、ちょっとしたリハビリをやってみたり。
そしたらまた声を出したり手を動かしたり、笑ってくれるようにもなった。
いい方向に動いている、そう思っていたのに。
今の脳は、活動しすぎている。
今度は、活動しすぎている。
そして追い討ちをかけるように、
「難治性のてんかんの可能性が高いです」
と言われた。
なんで、なんで虹翔ばっかり、こんなに一気にたくさん辛い思いをしなきゃいけないんだ。
先生の前で、悔しくて、涙が流れた。
免疫不全の可能性が高いと言われ、それだけでも辛く苦しいことがいっぱいまっているのに、なんでまた別のものがくるの?
それも難治性。
隣で聞い
いたパパも、涙をこらえていた。
いたパパも、涙をこらえていた。
病室に戻り、虹翔の顔を見ながら、パパと話した。
「虹翔なら、大丈夫」
虹翔と私達なら乗り越えられるからこその試練。
もうひとふんばり、もうひとふんばり頑張ろう。
病気になんか負けない。
絶対大丈夫。
3人でまた、頑張ろうね。
私もパパもすぐに切り替えられた。
きっと大丈夫だと。
頑張らなきゃ。今はまだ、頑張る時。
夜から、エクセグランというてんかんの薬が始まった。
入院生活、再スタートだ。
きっと大丈夫が大好き♪
11月20日金曜日 生後63日
転院の日。
仲良くなったママさんや看護師さん、先生たちにお礼とお別れを告げて、こども病院へ向かった。
虹翔はずっと起きてキョロキョロしてた。
どこに行くんだろう?お家に帰れるのかな?
そう思っていたのかもしれないね。
高速に乗って1時間ちょっとで到着。
1ヶ月ちょっと前に来た病院、今度は外来じゃなくて入院だ。
救急外来に行くと、思っていた以上にたくさんの先生が「待ってましたよ」と迎えてくれた。
着いてすぐに採血、血液培養、レントゲン、エコー。
本当にたくさんの先生がいて、皆で診てくれて、それだけで安心できた。ここならきっと大丈夫、スペシャリストたちがたくさんいるんだもの、たくさんの病気をみてきている先生たちだもの、きっと何が原因かもわかるし治療してすぐに良くなる。すぐにお家に帰れる、そう思った。
耳が少し膿んでいたみたいで、すぐに耳鼻科の先生を呼んでくれた。炎症はなくて、保湿剤で対応、耳掃除もしてくれた。
エコーでは尿管が少し腫れてみえるけれど、赤ちゃんなら生理的にそう見えることもあるから今は様子見で大丈夫と。
今日の検査結果を待ってから、週明け造影CTをやると説明された。
ドキドキしながら病棟へ向かった。
前の病院は総合病院で、小児科は混合病棟だったから、こども病院とは全然違った。
病棟に入るとたくさんの赤ちゃんや子供がいて、サークルベットがたくさんあって、病棟全体が明るくて賑やかな印象だった。看護師さんたちの白衣も白じゃなくてピンク、赤ちゃんの泣き声や笑い声がなんだか新鮮だった。モニターをぶら下げながら歩いている子や、副作用のせいか髪の毛が抜けている子、点滴をつけて遊んでいる子、本当に色んな子がいて、虹翔もここの一員になるんだな、みんな頑張ってるんだな、と思った。
入院先の病棟にはたまたま同じ専門学校の後輩が働いていて、すごく心強かった。他にも話していると地元に共通の友達がいたり、親近感のわく看護師さんたちばかりだった。
個室を用意してくれていて、別のベットを借りて隣につけて付き添いもできると言われたけれど、今まで隣にくっついて寝たことしかなかったから、離れるのは心配で、私も虹翔と同じサークルベットで寝ることにした。思ったより狭くて足を曲げないと飛び出しちゃう大きさだったけど、やっぱり隣で自分の温もりを感じさせてあげたかったし、離れると私の方が心配だった。
もらった入院診療計画書の病名欄には「持続的菌血症」と書いてあった。菌と共存している虹翔、はやく退治しないと、、と焦りが募った。