きっと大丈夫を見たら親指隠せ
きっと大丈夫批判の底の浅さについて
朝になった。
主治医の先生が来て、
「お母さんの遺伝子から、やっぱり、虹翔くんと同じNEMO異常が見つかったと連絡がありました。まずはお母さんに伝えてから、お父さんにもお伝えした方がいいか確認しようと思いまして。」
と言った。
やっぱり。
明らかになった、私の異常な遺伝子と虹翔の異常な遺伝子が同じということ。
でも、もう覚悟はできていたし、そんなに驚くこともなく、悲しむこともなかった。
「パパにも伝えて全然大丈夫です。」
そう言い、パパにも連絡を入れた。
先生は、もしかしたら私が、このことをパパに言わないで欲しいという考えかもしれないからと、先に確認してくれたようだった。
私たち夫婦は、当たり前のように情報を全て共有していたが、先生に言われてから、そうでない人もいるのかぁ、と思った。
自分の遺伝子が原因で子供が病気になった時、それを責める家族がいるかもしれない。
病気や障害の子を産んだから、責められるかもしれない。
これはきっとゼロではない、悲しい現実。
でもパパもパパの家族も、そんなことはなくて。
私のことを本当に心配してくれた。
お義母さんから届いたライン。
今まで何度も立ち直って来た虹翔の生命力を信じましょう。きっと大丈夫!また元気になると私は信じています。
すみれちゃんも自分を責めないでね。虹翔のおかげでどの家族よりも強い絆で結ばれてると思います。
これからも虹翔と真也の事よろしくお願いします。私たちもできる限り協力したいと思ってるから一緒に頑張りましょう!
すみれちゃん、体に気をつけてね。
パパの家族はみんな本当に暖かくて。
ここにお嫁に来てよかったと、何度も思った。
お母さんに伝えると、
本当に恵まれてるね。
と言われた。
責める親だってたくさんいるよって。
あぁ、わたしはなんて恵まれた環境にいるんだろうか、そう思った。
それから先生に、この病気は男の子が多いということが分かっていて、患者数はかなり少ない。
移植例は3件あり、2例が成功していると言われた。
いずれも私の住む静岡からは遠い県での移植。
骨髄移植が1例、臍帯血移植が2例。
1例は移植後に腸炎が悪化、残る2例が生存していると聞いた。
日本にたった3例しかない移植例。
虹翔の場合は、おそらく臍帯血移植になるだろうと。
生着は一番遅いけど、ドナーさんが全身麻酔をしなくてすむ移植らしい。
子供は、親の型を半分ずつもらって産まれてくるから、基本的に両親とは一致しない。
これから、全ての型が合う人を探すことになる。
血液内科の先生とも相談してくれていた。
骨髄移植に関してなんて無知で、看護学生の時に習ったかな?という記憶があるくらい。
分からないことだらけだった。
それから、主治医の先生に、担当の先生がここ3日くらい、寝ないでNEMO異常症について調べてくれていると聞いた。
担当になったばかりの頃は、私たちの考えと合わないところがあって、あまりいい印象がなかった先生。
可愛いけれど、クールで話しづらい印象だった。
でも、日が経つと共にお互い慣れていって、笑顔で虹翔や私たちに接してくれるようになった先生。
虹翔のために、たくさんたくさん調べてくれているんだ。
それを聞いて、ものすごく嬉しかった。
みんなで必死になって出来ることをやってくれている。
虹翔も頑張ってる。
医者と患者と家族が、1つになっている。
色んなことがあったけれど、やっぱり虹翔はここ
来て正解だった。
来て正解だった。
虹翔の頑張れる場所。
私たちは病気についてはもちろん、移植についても調べ始めた。
根本的な治療は移植しかない。
でも、その実施例も少なければ、成功率もわからない。
不安でいっぱいで、移植をすることが最善なのかもわからなかった。
だから今はとにかく、たくさんたくさん情報を得ようと、暇さえあれば調べていた。