今こそあくびの闇の部分について語ろう
あくびを一行で説明する
仕事が終わり、局の廊下を歩いていた時だった。
俺はなるだけ早く帰りたくて、帽子を目深に被り、多少俯き加減で足早に歩いていた。
すると、向こうから明るい聞き覚えのある声がした。
「翔ちゃんっ!」
ドストレートに俺を呼ぶ声。
慌てて顔をあげると、そこには眩しく微笑む雅紀の姿があった。
互いに仕事終わりな事を知り、飯に誘えばそれに乗ってくれたので、マネに頼み目的地まで送ってもらった。
そのまま二人きりで食事して、酒なんかも入って楽しい気分になってきていた俺らは、
そのまま俺の家で飲みなおすことにした。
二人でソファに座って、ひとしきり飲んだり喋ったり笑ったりしているうちに、
雅紀があくびを噛み殺し始めたのを見て、時計を見ればけっこういい時間で、
「そろそろお開きにするか」
と言うと、
「やだ。帰りたくない」
雅紀はそう言って、俺の膝に頭を乗せて目を閉じた。
おいおい、ちょっと酔っ払いすぎじゃねーか?
「おい?雅紀?」
呼びかけに応じることはない、そのうち、すうすう寝息が聞こえ始めた。
嘘だろ、マジでここで寝るつもりか?
疲れてるのかな。
せっかく気持ちよさそうに寝てるし、起こすのも可哀そうだし。
とかなんとか言ってるうちに、俺もうとうとし始めて、雅紀の頭を膝に乗せたまま寝てしまったらしい。
と、ここまではよかった。
初めは雅紀の頭がぐりぐり動いた事を、遠い意識の中で僅かに感じたのだが、
そのうち、下半 身がスースーしてきて、しまいには柔らかい生暖かい感触がして、
目を開けたら、何故だか外に飛び出している自分の下半 身と、それを旨そうにペロペロ舐めている雅紀の姿が飛び込んできた。
「何してんだよ、雅紀」
そう言った俺の声は、完全にうわずっていた。