幸ちゃん よーく考えよー。お金は大事だよー。
幸ちゃんを5文字で説明すると
⒊
⑴
おしみさんの孫娘・幸恵(鮫島幸恵)が帰ってくる。
幸恵は大きなケーキの箱を持っている。
幸「ただいま」
清「幸恵、おかえり」
清「どうしたの?大きなケーキなんか買って」
幸「お付き合いしている健二さんが来るの」
幸「ご両親と一緒に、『お婆ちゃんに挨拶したい』って」
幸「お婆ちゃん、会ってくれる?」
令が一歩前に出て、
令「断る!」
清「あんたは関係ないでしょ!」
次に、安尾が一歩前に出るが、何も言わずに下りる。
清「言うことないのに、出てくんな!」
安「会います!」
清「黙っときなさい!」
⑵
おしみさんがしみじみと語る。
清「孫の幸恵がそんな年齢になるとはね…」
清「亡くなった両親も、天国で安心してるわ」
安「あの~、前から気になってたんですけど…」
安「おしみさんの頭は白いのに、眉毛は黒いんですね」
清「それは、触れんでええから。(苦笑)」
安「あっ、幸恵ちゃんのご両親のことが…」
幸「両親は、今から25年前、私が3歳の時、交通事故に遭って、亡くなったの」
清「相手の不注意で、息子夫婦は天国に行ってしまった」
おしみさんの話に聞き入っていた、令は
令「た、たいへんでしたね」
清「交通刑務所を出た後、何度も誤りに来たけど、許すことはできなかった」
清「息子夫婦が帰ってくるものではなく…」
令「く、悔しいですよね。心中、お察しします」
清「相手の顔を二度と見たくないから、知られないよう引っ越しして、」
清「ここに食堂を開いたの」
令「の、のほほんと暮らしていると思うと、腹が立ちませんか?」
清「それは腹が立つわ」
令「わ、分かりました」
清「…あの、さっきから、一人でしりとりしてない?」
令「い…いいえ」
清「しりとりしてるやん!最低やな、あんたは!」
安「わ…和田アキ子」
清「しりとり、下手くそ過ぎるでしょ。(苦笑)」
清「あんた達は、ほんまに」
令「すみません、和ませようとしたんです」
⑶
幸「お婆ちゃん、そろそろ、健二さん達が来る頃よ?」
清「どんな人かな?」
そこに、クリーニング服を着て、服を抱えた小西(小西武蔵)が現れる。
小「クリーニング店の小西です!」
小西は幸恵の彼氏ではないよう。
安「紛らわしい!この流れで」
安「なんで、眉毛、黒いねん!」
清「眉毛は触れんでええから!(苦笑)」
⑷
小西は幸恵の彼氏ではないが、幸恵に好意がある様子。
幸恵に映画のチケットをプレゼントする、小西。
清「しつこいわよ」
小西は御構いなしに、
小「幸恵ちゃんに手紙を書いてきました」
小「今から読むので聞いてください」
清「ここで?」
⑸
小西が手紙を読む。
小『Dear 幸恵ちゃん』
清「なんやの、気持ち悪い」
小『僕は毎日、あなたのことを思うと、食事が喉を通りません』
小『ピーマン、にんじん、茄子』
清「単に、嫌いなもんやん」
手紙の2枚目に入る。
小『幸恵ちゃん…』
手紙の3枚目に入る。
清「2枚目、短っ!」
小『幸恵ちゃんのことを思うと、朝も起きられません』
清「ただの寝坊やん!」
清「夜も寝られません、ちゃうの!?」
小『最後に、これだけは言わせてください』
小『…』
小『これだけ』
小西が手紙を閉じる。
清「なんやの、これ!?」
清「気持ち、全然伝わってないやん」
小「いや、面白い方が好きでしょ?」
清「大して、面白くないのに、面白い空気出すな」
清「今の場面、私が7で、あんたが3や。(苦笑)」
安尾が口を開く。
安「スモールウェストとか言うたな?」
清「小西ね。(苦笑)」
安「手紙を持つ手が震えてたね」
清「ウケるかどうか考えて、緊張しとった。(苦笑)」
⑹
小西が幸恵に告白する。
小「僕とお付き合いしてもらえませんか?」
幸「あの~…」
安尾が幸恵に尋ねる。
安「幸恵ちゃん、言うてないの?」
幸「なかなか、言う機会が無くて…」
⒋
⑴
小西が幸恵に告白していたところに、
カジュアルスーツを着た健二(伊賀健二)が現れる。
健「幸恵さん、おまたせ」
小西が健二を見て、
小「…誰?」
安「幸恵さんの彼氏やと思いますよ?」
小西が幸恵に確認する。
小「嘘やろ!?」
幸「…ごめんなさい」
小「…」
小「嘘やんな!?」
幸「ごめんなさい」
小「…」
電車の音が聞こえるほど、静まる。
小「…」
小「嘘って言ってくれ!」
清「間が長すぎる。(苦笑)」
安「電車の音がはっきり聞こえてきた。(苦笑)」
小西が幸恵を指差し、
『幸恵の間に問題がある』というような身振りをする。
清「人のせいにすな!(苦笑)」
清「あなたの間は全員、不安になる。(苦笑)」
⑵
小「そんな~…」
落胆する、小西。
清「諦めなさい」
清「どうせ、あなたには幸恵は無理なんですから」
小西が走り去る。
令が小西に対し、
令「小西さん、あっちに踏み切り、ありますよ!」
清「殺したら、あかん!」
⑶
おしみさんが伊賀に挨拶する。
清「幸恵の『そば』で…」
清「…(苦笑)」
清「『祖母』で」
清「…厄介者が一人居なくなって、ほっとしてしまって。(苦笑)」
清「幸恵の『祖母』で、おしみと申します」
健「幸恵さんとお付き合いさせていただいている、健二です」
幸「健二さん、ご両親は?」
健「駐車しに行ってて、もうすぐ、来ると思います」
⑷
清「急いで、お茶を入れますね」
おしみさんは、幸恵に訪れようとしている幸せを思い、気持ちが舞い上がったか、
相手の親が来ることに緊張してしまったか、
店のテーブルや椅子を倒しながら、調理場に向かう。
幸「お婆ちゃん、焦らなくていいから!」
と、幸恵もケーキの箱を投げる。
安「幸恵ちゃんまで」
その4に続く