豊富な品揃えの中からきっと大丈夫のお買い得をあなたの元に
今日の収支+24000円
今月の収支+108600円
エリさんからとにかく離れたかった
もう手段は選ばない
どこかで俺は吹っ切れていた
エリさんは年下で容姿が整っている長髪の男の子が好きな人だった
そんな男をバター犬にするのが大好きさ
言ってみればただのスケベな女さ
もうこれしかない
俺の身代わりになるバター犬を用意するしかない
我ながら最低すぎる生贄作戦がキタコレ
エリさんも俺を嫉妬させたかったのかカッコ良い子紹介してと言ってきていた
「俺の友達は彼女皆いるからダメだよ」
『冗談だよ。ボルヲに妬いて欲しかっただけ』
妬くワケがないだろうが死ね
あなたの願い叶えます
俺はとにかくイケメンを探し回った
そしてついに見つけたんだ
俺より遥かにイケメンでチャラそうな奴を
そいつの職業はまさかのホストだった
年齢は俺と同い年
敢えて言うなら
指名入りました
バタヲからあなたに指名が入りました
あなたが次のバター犬に決まりました
エリさんもホストと言えば大丈夫と言っていたからきっと大丈夫
何が大丈夫なのかは相変わらず意味が分からないがきっと大丈夫
これは運命の出会いなんだ
どうでも良いから生贄になってください
「あのさ」
「3Pできる女がいるんだけど」
この時の俺は悪魔のような顔をしていた
それからエリさんはそのホストを凄く気に入り店に通ってお金を遣うようになる
結果的に俺の存在は段々と薄れていき連絡が来る事も無くなったのだが
そのホストは因みに今ではホストクラブを経営するクソ金持ちになっている
本当にホストなら大丈夫だったのかよ
思わず笑ってしまうじゃんか
そんな俺の刺激的だった昔話はここで終わり
完
この頃のことは今でもよく覚えている
因みにだが
後で本当は生贄にする予定だったとホストに正直に話したらもちろん怒られたwww
そりゃそうだwwww
そんな事もあったが何故か仲が良い友達になってそれからいっぱい遊んだな
結局出てきた旦那さんとエリさんは別れたと後で聞いたのだが真相は詳しくは知らない
そのうちホストクラブにも来なくなったとか
俺はこの経験を通して
セクロスをする女が既婚者かどうか
そして既婚者なら旦那さんの職業を必ず聞く事が最重要だと学ぶ事になった
アメブロに書けないヘビーすぎる部分は全て吹き飛ばしてザックリと書いたのだが
まだ大学生だった俺には色々と刺激が強すぎたみたいだ
今でもエリさんはバター犬と遊んでいますか
俺はあなたのお陰で誰に対してもバター犬になれる立派な男になれました
それがあなたから貰った唯一の俺の誇り
何言ってんだ
明日は朝から稼働する予定
きっと大丈夫を理解するための6冊
Side C
『期末試験で50番以上順位が上がれば付き合う』
そんな、僕の思い付きで出してしまった条件
その結果が漸く分かって、10分しか無い休み時間を使って、チョンは直接僕の居る保健室まで報告しに来てくれたんだ
チョンは頑張っているんだって信じていたし、
きっと大丈夫、そうは思っていたけれど、
結果は100番以上順位を上げていて、本当に嬉しかった
付き合う付き合わないじゃなくて、多分、この『嬉しい』は好きな人の頑張りが報われた事への『嬉しい』なんだって分かった
「今、言いたい事が本当は有るんだけど…
もう授業が始まっちゃうから…
ちゃんと伝えたいから放課後に来ても良い?」
チョンが、物凄く大人に見えた
分かってる
休み時間は10分しか無くて、もう今すぐ教室に戻らないと2時間目に遅刻してしまうって事
分かってる
僕は先生として、チョンに「早く戻らないと」って言わなくてはいけないって事
でも…
「……ユノって、いつも自分のペース…」
「え…」
分かってる
『伝えたい事』が付き合う事に関してなんだろう、って
でも、試験前からずっと会いたくても会えなくて、連絡だって殆ど僕からの一方通行だった
寂しかった分、一度離れたく無いと思ったら止められなくて…
「試験が終わった日以来、
たまにメールするだけだし…」
「それは、今日の結果が出るまで我慢、と思って…」
困ったように、でも嬉しそうに微笑む大人な君
受け止めてくれるから、つい本音が漏れ出てしまう
駄目だって分かっているけれど、行って欲しくなくて、
ユノの腰辺り、シャツの裾を指先で捕らえた
「僕だって、応援していたし待とうと思ったけれど、
たくさん色んな事を考えたし、悩んだし…」
「うん、ありがとう」
「会いたかったし…」
もうチャイムが鳴り始める時間で…
僕は今、物凄い我儘を言っていて…
でも、嬉しそうに笑ってくれるから許されたんだって思えて、僕は今多分、生まれて初めて、こんなにも我儘を言っているんだ
「今日だけ我儘
お願い、2時間目だけここに居て…駄目?」
触れていたら安心出来る
裾を掴んでいたらそれだけでここに君がいるんだって思える
離れたく無いから、一歩、また一歩君に近付いて、
薄いシャツの下でゆっくりと上下する心臓のあたりにそっと額を寄せた
「チャンミン、そんなの狡い」
狡い、って聞いて一瞬怖かった
でも、狡いなんて言いながらもその声は甘くてくすぐったいから、甘えてしまいたくなる
「先生失格だけど、今だけ…」
触れた額と指先
段々速くなる心臓の音と皺になったシャツの感触
まだ午前中だから保健室に射し込む日差しは弱くて、
風はまだ涼しい
この記憶をずっと大切にしたいと思ったんだ
「あ……」
「あはは、チャイム鳴ったね
チャンミンに根負けしちゃった…
嘘だよ、本当は俺だって離れたく無いんだから」
「ユノ…」
左手が僕の髪を梳いて、指先が耳に触れて胸が苦しい
「2時間目だけ…本当はずっと居たいけど、約束
友達にメッセージ入れるからちょっと待ってくれる?」
もっと触れて欲しかったのに左手は離れたから、
それを追い掛けるように顔を上げた
スラックスのポケットからスマートフォンを取り出して一瞬でメッセージを送り終えてしまった
「早い…」
「そう?普通だよ
チャンミンもスマホにする?」
「…使いこなせる気がしない」
「俺は今のままでも良いけど…
あ!でも、困るのは写真が送れない!」
「え、そうなの?……っ」
驚いていたら、眼鏡を外された
チャイムは鳴り終わったから、
僕達が話さないと校舎の外れのこの場所には静寂が訪れて…
「チャンミン、聞いて欲しい事が有ります」
「…うん」
普通に返事をしたつもりだったけれど、
少し声が掠れていたかもしれない
裾を掴んでいた僕の右手
その右手首にそっとユノの手が触れて、
思わず裾から手を離したら、びっくりするくらい皺くちゃになっていた
「あ、ごめん…皺に……」
「ん?あはは、これ、もう洗濯出来ないよ」
「え…洗濯しないと汚いよ」
「チャンミンが触ったなら綺麗
皺が消えちゃうの勿体ないから、
後で写真撮っておこうかな?」
「……変なの」
こそばゆくて、嬉しくて恥ずかしくて、
上手く返せない
それでも、笑ってくれるからほっとするんだ
ユノの右手も伸びて来て、
行き場を失っていた僕の左手をそっと握る
ふたりの間で手と手が触れ合って、繋がっている事を感じる
「チャンミン、あのね」
触れ合った手をぼうっと見ていたら、
覗き込まれて思わず顔を上げ
「……俺と、付き合ってください」
さっきまでの優しい笑顔でも
困ったような笑顔でも
泣きそうな笑顔でも無くて、
真っ直ぐに、瞬きもせずに見つめてくる
「……あ…」
心臓がうるさくて、しん、と静まり返っている筈なのに
耳の奥も胸の中もトンネルの中みたいにうるさい
でも、それが嫌じゃなくて、『好き』だからこうなるんだって、漸く気付けたんだ
見つめ合ったまま黙っていても、
ユノは僕の手をしっかり握ってただ真っ直ぐに見つめてくれる
何を言えば正解か、
どう言えば格好がつくのかなんて分からない
でも、僕の今の気持ちは…
「ユノが好き
付き合った事なんて無いから何も分からない
でも、こんな僕で良ければ……付き合ってください」
多分、いや絶対声が震えて、最後は涙がじんわり浮かんでユノの顔がぼやけていた
顔を背けたいくらい恥ずかしいけれど、
今はきっと逃げちゃいけないんだって分かるから、
涙を堪えて必死で前を向いた
瞬きを堪えて、涙が零れ落ちるのを我慢していたら、
目の前が真っ暗になって反射的に目を瞑ってしまった
そうしたら…
「……っわ」
「チャンミンの涙って甘い」
「や…汚いから舐めないで」
目尻を舌で舐め取られて、目を瞑った事で溢れた涙は全部拭われてしまった
「チャンミンに汚いところなんて無いのに?」
「……そんな訳ない」
「そうかな?じゃあ、俺が正しいんだって、ゆっくり確かめていかないと」
「何それ…」
意味ありげに微笑むユノ
何を考えているかは分からないけど、気持ちが通じ合ったと思うだけで、今までのような不安が飛んでいくから不思議なんだ
「ん」
「え…」
至近距離で腕が前に広げられて、
何だろうと一瞬思ったけれど、今度はちゃんと分かった
「あはは、チャンミンから来てくれて嬉しい」
どうやら抱き着くのは正解だったみたい
胸が詰まって、少し汗ばんで背中に張り付いたユノのシャツに触れる事も嫌じゃない、どころかどきどきしてしまって、ゆっくり深呼吸して恋人の匂いを吸い込んだ
「ユノ、これから宜しくお願いします」
「…こちらこそ
俺を好きになってくれてありがとう」
「……それは僕のせりふだよ
ありがとう、本当に」
拭われた涙はまた溢れ出して、
この瞬間を永遠にしたいと思った
でも、本当は、この瞬間をずっと更新していけたら良い
初めて、誰かと一緒に歩んでいく未来を夢見たいと思ったんだ
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漸く付き合えました
約5ヶ月掛けて一区切りつけて、
少し感慨深いです
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