ヘッドフォングッズ大奉仕!

ヘッドフォングッズ大奉仕!

ヘッドフォンの人気商品をたくさん集めてみました

耳当てに軟弱な偏見を持ち続けていた

「あんな物は小学生の女子がするものだ」と

しかし僕も年をとり頑固な考えが改まってきて

「べつに40のオヤジがしてもアリじゃね?」

とコペルニクス的転換が出来るようになった

いざ素直になって耳当てをしてみたら

まあ素敵、こんな事ならもっと早くするべきだった

そこに嫁がトコトコ近寄ってきて

何を勘違いしたのか「ブッ」と一発放屁した

ヘッドフォンで音楽を聴いていると思ったのだろう

「聞こえてますよ」と無言の圧力をかけてやった。

読者の皆様、こんにちは

いつも温かいコメントありがとうございます

耳当てが温かいです

末端冷え性には必須のアイテムですね

音もちゃんと聞こえますし

勿論、屁の音もクリアに聞こえますよ。

↓応援よろしくです↓


ヘッドフォンの激安商品をお届けいたします

幼い頃から隣の家同士、いつも一緒にいた幼なじみがいる。

周りが呆れるほど傍にいたかと思うと、つかず離れずの時期があったりもして、互いの両親の離婚は偶然だったけど、多感な時期の唯一の理解者だった。

そしてある時を境に恋人同士になった私たち、それもある意味自然な流れだったと思う。

なのに今は…、1番近くにいるのに、1番遠い人…。
「信ちゃん、今日も遅くなる…?」
「わっからんなぁ。遅なるようやったら連絡するけど、ええ子で待っとき。」
「うん…。」
初めは私たちも普通の恋人同士のように始まったのに。
いつからだろう…。
信ちゃんとの関係に歪みが生じ始めたのは…。
信ちゃんの家に2人で住むようになってから、少しずつ何かが変わり始めた。
忙しい信ちゃんは仕事の帰りも遅く、接待や飲み会もしょっちゅうのこと、仕事のことや外での信ちゃんを私は知らない。
女の子のいるお店に行ってることや、私以外とも関係を持っていることを除いては。
もとい…。
私以外というのは適切な表現じゃなくなった。
もう何年も前から、信ちゃんは私を抱かなくなったから。
キスはするけど、それ以上はない。
心配や束縛はあるけど、愛してるは聞けない。
カゴの鳥のようにこの部屋で過ごし、信ちゃんの帰りを待つ。
「信ちゃん、おかえり。」
「ただいま、今日は何してた?」
「えっと…、お掃除したり、ご飯の作りおきしたり…。あっ、ご飯は?」
「外で食うてきたわ。」
「そっか…。じゃあお風呂は?」
「もらうわ。」
信ちゃんの体温で温まった布団へ身体を忍び入れる、既に隣で小さな寝息を立ててる信ちゃんの顔は、昔とどこも変わりはしないのに。
「信ちゃ…ん…。」
「んん…、◯◯…もっとこっち寄りぃ」
薄目を開けた信ちゃんが半身になって、私の方を向くと腰に手を当てズズっと引き寄せた。
ただそれだけの事なのに、聞こえてしまいそうなくらい胸が高鳴って、思わず信ちゃんの顔を両手で近づけキスをした。
「何してんねん、自分からすなよ。」
「…、ごめん。だって信ちゃん、してくれないから…。」
「して欲しいときはしたるよ…。」
今度は信ちゃんの顔が近づいて、目を閉じると唇に触れた熱が全身に行き渡るようだった。
「信ちゃん…、もっと…。」
「なに…?もっとして欲しいんか?」
「うん…。」
「ほんならもっとええ子にして、待っとき。」
そう言ってくるりと背を向けた信ちゃんに後ろから抱きついて、明日はもっといい子でいるねって背中にぶつけた。
信ちゃんの歪んだ愛情だけど、2人の時は私にだけ向けられるそれに満たされる私こそ…歪んでるのかもしれない。
仕事も辞め、友達もいない。
信ちゃんが働くお給料の半分は任されているから、昼間は買い物に出かけたり、DVDを借りに行ったりして過ごす。
気楽と言えばそうだけど、信ちゃんの帰りを待つだけの日々、そして本当の気持ちが見えない信ちゃんに不安がないかと言えば、嘘になる。
信ちゃんのスーツやネクタイ、ワイシャツをクリーニングに出すと、決まってポケットから出てくる可愛いクセのある字で書かれた番号や、心当たりのない領収書。
こんなお店知らないし、花束もケーキも受けとってはいないのに、隠す素振りはなく、何ならこれ見よがしに入れてるとしか思えないほど。
自由なお金をたくさん貰っても、本当に欲しいものはそうじゃなく、信ちゃんの心や通い合わせる温度が足りない…。
その日も信ちゃんは帰りが遅く、昼間借りてきてたDVDを見ながら時計の針ばかりを目で追っても、なかなか内容が頭に入ってこない。
以前はよく2人でDVDを借りてみていた、ホラーやラブストーリーが好きな私と、SFやアクションものが好きな信ちゃん、好みが違っても決まって選択権を譲ってくれていた。
遅いだけならいつものこと、リビングの扉を開けた瞬間目に飛び込んできたのは、着崩したスーツに緩んだネクタイ、ほのかに漂う甘い香り、信ちゃんはお酒も入ってるようだった。
「信ちゃん…、遅かったね。」
「はぁ…ん?しゃあないやろ、付き合いとかあるしやな…。」
「お仕事なの…?」
「男が外に出たらな、色々あんねや。◯◯は家におったらええんやから、不満なんかないやろ…。」
ぶっきらぼうに答えながら、身につけた衣類を1枚1枚と雑に脱ぎ捨てると、それらはくしゃくしゃに私の手に収まる。
浴室へと向かう信ちゃんの背中を見つめ、掌に乗っけられた信ちゃんの脱け殻を抱きしめる、大好きだった匂いはもうそこにはない。
「◯◯…、ほな行ってくるわ。今日はなるべく早よう帰れるようにするな。」
「信ちゃん…、行ってらっしゃい。」
ふわって抱きつくと、背中に回した腕はほどかれ代わりに乗せられた掌がポンと頭を弾いた。
「行ってくる…。」
記念日を祝ってもらうなんて諦めてる、でも早く帰るなって言われて期待しないわけもなく…、今日は信ちゃんと付き合い始めて7年目の記念日になる。
少しの期待を胸にいつものレンタルショップを覗いた、信ちゃんが好きそうなDVDを2本と昼間に1人で観賞するための2本。

1番上の棚に並べられたサンプルを手にしようと背伸びする、やっとの思いで届いた空ケースは非情にも隣合う数本のサンプルを同時にフロアに叩きつけた…。
パタパタとサンプルが落ちる音が響くフロアに駆けよってきたのは、いつもここで見かけるサラリーマン風の人。
スーツを着ているのになぜだかいつも昼間に見かけるその人は、手際よくサンプルを拾い集め最上段の列に並べた。
「大丈夫です…?」
「あ…はい、すみませんっ。届きにくくて、助かりました。」
「こんなん借りんの?」
その人が再び手にしたDVDは何年か前にブームを起こしたホラー映画で、信じられないと言った顔で私を覗きこんだ。
「え…と、好きなんで…。」
「よく…、会いますよね、ここで。」
「ですね…。お仕事中ですか?」
「ええ。仕事終わったら真っ直ぐ帰りたいんで、空き時間によう借りにくるんですわ。」
「そうなんですね…。」
ホラー映画が好きだと言ったのが少し恥ずかしくって、ではまた…。と会話を打ち切った。
早く帰ってくるかもと淡い期待に信ちゃんの好きな料理を並べた。
そんなに得意じゃなかった料理も、ここまで家で過ごせば多少の上達は必至で、腕を奮う機会が減ってきてるのは想定外だけど…。
信ちゃんの好物は並べた、好きそうなDVDの準備に、髪の毛もメイクも夕方からやり直して、持ちあわせの服の中でも1番際どいのを選んだ。
「ただいまぁ…。」
「おかえりっ…、信ちゃん。」
「おっ、ええ匂いさすなぁ…。」
「信ちゃんの好きなのばかり、作ったよ。」
「ホンマか?ありがと。」
「先にお風呂入る?」
夕飯を食べ終わりソファーの下で寛ぐ信ちゃんが、洗い物をしていた私を呼び止めた。
「そんなんええから横に座りぃ…、一緒に見よや。」
DVDの空ケースをヒラヒラさせて、隣に座るようにポンと床を叩いた。
信ちゃんの隣に隙間なく座って足を伸ばすと、短いスカートの裾から忍びこんできた右手にびくんと反応する。
「なんでこんな短いの履いてんねん、昼間誰かに会おうたんか?」
「信…ちゃん、ちがっ…うよ…」
「ええ子にしときて、いつも言うてるやろ…」
TV画面から目を逸らさず太腿を四方に撫でられるとそれだけで、全身は熱を帯び、頬が紅潮したのがわかる。
「信ちゃん…。」
「ごめんな…、ほら見るで。」
少しの期待は簡単に裏切られ、何事もなかったように映画に見入る信ちゃんの横顔を見つめるしかなかった。
********************
「あのぅ…、こんにちは。」
「あぁっ…この間はすみませんでした。」
軽く会釈すると少し顔を赤らめて、この間のホラー映画の感想を聞かれた。
これなんかどうです?って、別のホラー映画の話を進めるこの人は、キレイな顔立ちをしてるのに人なつこい顔を浮かべ、すうっと私の中に入り込んでくる。
こんなに人と親しく話すのは久しぶりのことで、気づいたら自然と顔は緩んでいた。
空腹を満たすため隣接されたコーヒーショップに入り窓際のカウンター席に腰を下ろすと、隣ええ?ってさっきの笑顔が飛び込んでくる。
「映画、好きなんですね。」
「家でゆっくり見れるから、映画館よりDVDをレンタルすることが多くって、よく行くんです。え…っと…。」
「あっ…横山です。ボクも仕事終わって家帰ったら、とりあえず映画…ってくらいよう見てるますわ。」
「…あっ、今度、一緒に見ません?」
「え…、あ……。」
「あ…、ごめんなさい。間違えましたっ…。人とこんな風に外で話したの久しぶりで…。忘れてください。」
信ちゃんしか異性を知らない私は、適当な距離がイマイチわからずとっさに出た言葉だった。
困った顔が少し頬も赤くなっていて、嬉しかった。
好きな映画ジャンルのことや、今まで見て良かったもの、お店の店員さんの話までお昼休憩ギリギリまで話が弾んだ。
店の前で横山さんと別れ、またそのうち…って一緒に映画を見る約束はさすがにしなかったけど、自分から切り出しておきながらホッとしていた。
帰っても、気づいたら横山さんと話したことを思い出して、久しぶりに感じる高揚感に浸っていた。
「ただいまぁ…。」
「おかえりなさいっ。ご飯食べる?」
「もらうわ…。」
「なんや、今日はええことでもあったんか?」
「…ん?なんでもないよ…。これ、上手くできたからかな…。」
思わず目の前の煮物に手を添えてごまかしてみたけれど、信ちゃんの表情が一瞬変わったのを見逃さなかった。
「◯◯…、腰揉んでぇ。」
「うん…、疲れてる?」
「せやな…。◯◯は今日何してたん?」
「レンタルショップ言って、スーパーで買い物かなぁ。」
「ふ~ん…。」
仰向けに体勢を変えると少し頭を起こし、両手を頬に当て引き寄せられると唇が重なった。
いつもその先はないけど、それだけでも十分優しくて甘い時間には変わりない…今までだったら。
信ちゃんと場所を入れ替えるように今度は私が仰向けになると、触れるだけのキスをもう1回。
信ちゃんはそのあと、どこにも行くなよって耳元で囁いて背を向けた。

「信ちゃん…、好きだよ。」

一方的な言葉は虚しく部屋にさまよった。
数日後、再び訪れたレンタルショップ。
横山さんに会えるんじゃないかって、少しは期待して髪を巻き、スカートを履いて、家を出た。
店内をひと通りうろうろして、姿が見えないことに小さな落胆を覚える、たくさん借りてたからまだ見終わってないのだろう…。
「こんにちわ…。」
「横山さん…。」
「やっぱり来とったわ…。」
「借りてたの…、もう全部見たんです?」
「いや…、今日はその…、◯◯さんが来てるかな思うて…。」
「…。」
「こないだ言ってた…、映画やけど一緒見いひん?」
「え…。」
「あ…いや、無理やったらええけど…。」
「あ…こないだは久しぶりにこんな風に外で人と話して…、楽しくて…、図々しくお願いしたんですけど…。いい…のかな…。」
「…。」
「やっぱり…、変ですよね…。会ったばかりだし、さすがに家とかは…。」
手にしていたDVDをとっさに取られると、空いた手は横山さんのもう片方の手が包んだ。
細くてしなやかな手は私のそれをしっかり握り、俯いたまま絡め合う指を目で追った。
慣れた手つきでバーコードをスキャンし店を出ると、沢山の人が行き交う街中を縫うように歩いた。
信号待ちで立ち止まり、肩を並べた横顔を盗み見る、白い肌は陽の光の下ではより一層透明感を増していた。
誰かにこうやって手を取られ、街中を歩く、そんな大げさでもないような事が、いつからだったか失っても尚気づかないほど、私の感覚は麻痺してた。
生まれて初めて足を踏み入れたネットカフェ。
「横山さん…、お仕事中なんじゃ…。」
「ええの、今日は午後休取ってあるし。営業成績ええ方やから…。」
「ここで一緒に見よや。」
「はいっ…。」
何度も見かけた、
話したのは3回、
10分手を繋いで歩いた。
そして初めて2人きり…。
狭いブースの中で備え付けの2人掛けソファーに座ると、横山さんとの間に距離を置く方が難しくって、肩が触れるのは必然だった…。
ソファーの上で膝を抱えヘッドフォンをしても、触れる肩の動きにいちいちピクリと反応する。
場面が変わるタイミングで右手に触れた温かさに、言葉もなく俯くと、トントンと指が肩を叩く。
「ええ場面やで。」
ヘッドフォン越しに聞こえた声と、繋がれた指先、落とした照明に、胸の鼓動は高鳴りを抑えきれずにいた。
「面白かったなぁ。どやった?」
「あ…、え…、あんまり内容が…入ってきませんでした…。」
「なんで…?」
「え…、だって、手…。」
「あぁ…、ごめん、嫌やったか?」
「え…と。私、慣れてなくて…、こういうの…。それに…。」
「…ん?」
深刻な表情になった私を、覗きこむようにあとの言葉を待った。
to be continued…

ヘッドフォンを学ぶ上での基礎知識

*本記事は、2018年2月22日に公開した記事を加筆・訂正したものです。最後にボーナス・トラック2曲を除く全14曲の対訳をリンクしています。

ビヨンセ(Beyoncé)がスーパーボウルのハーフタイムショーでしてから2年が経った。アンアポロジェティックにブラック・エクセレンスを賛美する同パフォーマンスもあり、2016年2月が白人史上主義者にとって史上最悪の黒人歴史月間(Black History Month)だと言われたことも記憶に新しい。彼女は同年4月にアルバムをリリース。黒人女性としてのストラグルを描き切った同作が、2016年を代表する一枚となったことは言うまでもないが、その始まりはやはり同年の2月であった。

しかし、本年(2018年)の2月は、これまでのところ、その「史上最悪」を更新しつつあるようにもみえる。なにしろ、マーベル初の黒人ヒーローを据えた映画が公開され、これが記録的な大ヒットとなっているばかりでなく、すこぶる好評なのだ。やを手がけたライアン・クーグラー監督の同作は、3月1日(木)より日本でも公開される。同作については2月26日(月)掲載予定の別稿を読んでいただきたく、本記事で詳しく触れることはしないが、ぜひとも劇場に足を運んで観てほしい。アクションやユーモアといった要素に加え、同作のポジティブなメッセージは、ここ日本でも多くの人々の胸に響くものと信じている。なお、同作のオフィシャル・サウンドトラックのプロダクションを任されたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と、所属レーベルTDE (Top Dawg Entertainment)のCEO=アンソニー・”トップ・ドッグ”・ティフィス(Anthony “Top Dawg” Tiffith)は、南アフリカのアーティスト4人を起用。こちらも映画と同様、ブラック・エクセレンスを体現するかのような内容となっており、映画とも密接にリンクしている。

クレンショーからの戦略的遅咲きデビュー

さて、そんな今年の黒人歴史月間であるが、LAはクレンショー出身の一人のラッパーが祝福の時を迎えたことも忘れてはならない。ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)が待望のデビュー・アルバム『Victory Lap』をリリースしたのだ。

Nipsey Hussle,

Image via iTunes

ニプシーのメジャー・デビューまでの道程を簡単に振り返っておこう。彼のメジャー・デビュー作は当初『South Central State of Mind』と題されており、2010年10月19日にリリースされる予定であった[1]。当時の彼は、クリップス出身であることに加え、そのひょろっとした体型もあり、次世代のスヌープ・ドッグと目されていた。オートチューン全盛の時代にあってストリートを体現する生々しいラップは高く評価されており、ケンドリック・ラマーが有名になる前、西海岸の新世代(ニュー・ウェスト)の中心人物だったと言っても過言ではない。大手エピックレコードからのメジャー・デビューが幻と消えてしまってから今まで7年以上もの間、彼は一体何をしていたというのか。これまでの道のりを「マラソン」と形容する彼は、昨年12月に出演したPower 106の『The Cruz Show』で、以下のように話している[2]。
俺はコントロールすること、公平なオーナーシップを持つことには本当に拘ってきた。これ(=今回の大手レーベルとの契約)はネクスト・レベルでのパートナーシップなんだ。やるべき仕事は山ほどあった。伝統的な、いわば産業の「エゴ・システム」の外で、価値を築かなきゃいけなかったんだよ。それがあるレベルに達して初めて、俺らの求めるものが意味をなした。(パートナーに求めるものを)正当化できるレベルになったんだ。
《中略》
俺のやり方でやるってことが重要だった。俺は自分のキャリアを賭けたんだ。こんなふうにならないなら、望んでなかった。
ニプシーがどれだけ自分のブランドを築くことに拘ってきたかが、この発言でよく解る。彼が言うところの「エゴ・システム」に搾取されることなく、ブランドを築いてきたラッパーは他にもいる。ジェイ・Z(JAY-Z)はその最たる例で、最新作収録の「The Story of O.J.」では、自らの経験を踏まえて投資の重要性を説いている。カニエ・ウェスト(Kanye West)も、既存のアフリカ系アメリカ人のイメージを覆すような言動や作品でファンベースを築いてきた、唯一無二のアーティストだ。ドクター・ドレー(Dr. Dre)だって、音楽で自身のブランドを築いてヘッドフォンまでプロデュースし、億万長者のリスト入りを果たした、コンプトン生まれのスーパースターだ。彼らもまた、ニプシー同様に大きなビジョンを描いて活動してきたからこそ今があるのだろう。

軸足をフッドに

諸先輩と同様に戦略的な「マラソン」で確かなブランドを築いたニプシーだが、今でもフッドに軸足を置いているようだ。『Victory Lap』の先行シングルである「Rap Ni**as」では、「俺はお前らみたいなファッキン・ラップ野郎とは違うんだ」とスピットしており、自分の出自があくまでストリートであることを強調している。
Nipsey Hussle – Rap Niggas

また、地元であるクレンショー・ブルヴァードとスローソン・アヴェニューの交差点付近には、彼が運営するアパレル・ブランド=ザ・マラソン・クロージング(The Marathon Clothing)のショップがあり、彼自身もよく訪れるという。そこからすぐ近くにあるファット・バーガーの制服も、彼のブランドのものだ[3]。同店舗には彼の写真が飾ってある。
筆者撮影(2015年9月)
この先、彼がさらに稼いだらどうなるのかは分からないが、今でもフッドに軸足を置いている点は、上述の先輩ラッパーたちとの明確な違いだといえよう。前出のインタビューで「論理よりも感情を重んじる」と話しているニプシーは、今でも地元の人々とのコネクションを重んじているのだ。

Fuel for Everyone Gettin It

そんなニプシーのアルバムだけあって、『Victory Lap』は実にエモーショナルで、モチベーショナルで、インスピレーショナルだ。ヒップホップ・ジャーナリストのロブ・マークマン(Rob Markman)は、同作を「何かを手に入れようとする全ての人にとっての燃料」と形容している。

彼の言葉どおり、同作は何らかのストラグルを経験
ている全ての人、特に若き日のニプシーと同じ境遇にいるフッドの人々を鼓舞する内容となっている。アルバム全編にわたって、ニプシーはストリートやラップ・ゲームで生き抜くためのゲーム(知恵)をトロップしている。

フッド・ライフの描写

YGを客演に迎えた「Last Time That I Checc’d」では、フッドの日常を以下のように描写している。
Every nigga in the streets tryna feed the babies
The single mama’s workin’ hard not to miss a payment
And dirty money get washed on royalty statements
Black owners in this game are powerful racists
(ストリートの奴はみんなガキに食わせようとし
 シングルマザーも支払に遅れないよう必死
 汚い金はロイヤルティー報告書で流されちまう
 ゲームの黒人オーナーは強大なレイシスト)

こうした日常を、ニプシー自身も経験してきたのだろう。ホーミーへの愛を忘れないニプシーは、「Young Ni**a」で、危ない目に遭った自分を友人が助けてくれたエピソードも披露する。

Remember I was on the run, nigga

Couple years before you had a son, nigga

Open up your doors and kept it one with me

Held a nigga down and that was love, nigga

(俺が逃げてたの、憶えてるか?

 お前の息子が生まれる数年前だ

 お前はドアを開けて俺を入れて

 匿ってくれたな、あれは愛だった)

さらに、「Real Big」では以下のようなことも語っている。彼の育った環境がいかに荒廃したものだったかが窺えるとともに、それでも信念を持ってやり続ければ光が見えるかもしれないと、同じ境遇にいるリスナーは勇気づけられるにちがいない。

High school, didn’t go

Couldn’t understand my plan, now you niggas know

Self made, well paid

I’m from where they tell you never touch the shell case

I’m from where they teach you never trust a pale face

(高校には行かなかった

 俺のプランが今なら分かるだろ

 セルフ・メイドでよく稼いだ

 薬莢を触るなって言われたし

 白人を信じるなって言われた、そんな育ちさ)

グラインドの日々

では、ニプシーはそんな環境からいかにして抜け出したのだろうか。その答えは「グラインド」一択である。その努力には自負があるようで、「Grinding All My Life」では以下のように語っている。

I don’t know a nigga like myself

I say self-made, meanin’ I designed myself

(俺みたいな奴なんて他に知らない

 俺がセルフ・メイドって言うのは、自分をデザインしたって意味)

さらに、「Million While You Young」では

Can’t be actin’ like a bitch tryna get saved, bruh

Get that dirt up off your shoulder, step yo game up

(救われたいビッチみたく振る舞ってらんないぜ

 ネガティビティを払い、ゲームを駆け上がる)

ともラップしており、成功に向けての執念が並大抵のものでなかったことを窺わせる。

高い場所からのエール

ニプシーは今でもハッスルしているが、それだけではない。現在の地位を手に入れたニプシーにとっては、人々をモチベートすることも関心事だ。だから、「Hussle & Motivate」でこんなことを言っている。

Pull up in motorcades, I got a show today

It’s all I’m tryna do, hustle and motivate

Choppers and throwaway, hustle the Hova way

That’s why they follow me, huh, they think I know the way

(自動車行列に車を停める、今日はショウがある

 俺がやりたいのはハッスルとモチベートだけ

 銃と使い捨てのものでホヴァみたくハッスル

 だからみんなついてくる、道を知ってるぜ)

ハッスル/グラインドを経て成功したニプシーは、その位置からの景色を、タイトル・トラックで誇らしげにラップする。

Flew to Cancun, smokin’ Cubans on the boat

And docked at Tulum just to smoke

Listening to music at the Mayan Ruins

True devotion on the bluest ocean, cruisin’

(カンクンに飛んで、船でキューバの葉巻を吸う

 トゥルムに着けて一服だけした

 マヤ遺跡で音楽を聴いてる

 真っ青な海に愛情を捧げてクルーズするんだ)

ここでの「真っ青な海」はお金のことを指す(新しい100ドル札は青いことから)と考えられるが、その前段で様々な地名を列挙していることも注目に値する。フッドだけでない広い世界をホーミーたちに見せようとしているかのようだ。

そして、そんなニプシーからのメッセージが最高にエモーショナルなのが「Dedication」だ。

This ain’t entertainment, it’s for niggas on the slave ship

These songs just the spirituals I swam against them waves wit

Ended up on shore to their amazement

I hope the example I set’s not contagious

Lock us behind gates but can’t tame us

(これはエンターテインメントじゃない、奴隷船に乗った奴らに捧げる

 これらの聖歌を聴いて、俺は荒波に向かって泳いだんだ

 奴らの驚くことに岸に辿り着いたさ

 俺が示した例が流行に終わらないことを願う

 俺らは門の奥で囚われても、手懐けられない)

新しいブラック・エクセレンスのかたち

ニプシーが今作で示したようなハッスル&グラインドの精神は、誰もが持ちうるものだ。それだけに、『Victory Lap』のメッセージは万人に響きうるものだといえる。ただ、中でも彼のメッセージが最も響くのは、やはり彼と同じくフッドに暮らす黒人たちにであろう。今でも身近な存在であるニプ
シーの活躍を間近で見て、インスパイアされるキッズは少なくないはずだ。
目の前のことに惑わされず、あくまで戦略的に自分のブランドを築く。従来のやり方には囚われない。同時に、フッドに軸足を置き、そこに暮らす人々への愛や情熱を忘れない。自らの出自を誇る。幻の『South Central State of Mind』から約8年越しのメジャー・デビューを果たしたニプシー・ハッスルは、このようにして新たなブラック・エクセレンスのかたちを示したといえるだろう。一人のロールモデルが生まれたクレンショーから、彼にインスパイアされた次なるスターが誕生する日は、もう目の前まで迫っているのかもしれない。

対訳

  1. *
  2. Double Up (feat. Belly & DOM KENNEDY)**
  3. Right Hand 2 God**

*洋楽ラップを10倍楽しむマガジンにリンクしています

**都合上、対訳を掲載しておりません

〜出典〜

[1] 
[2] 
[3] 


ヘッドフォン 関連ツイート

いつの間にか外れてた真っ赤なヘッドフォンの 片耳から流れ出した 数字の少女の唄/非実在少年は眠らない
@itinoseran_bot (ヘッドフォン装着中)
慣れないヘッドフォンしたら耳が痛い( ◉ω◉ )


みんなが愛用してるヘッドフォン気になる。。。。。

わいはだんぜんスカルキャンディーちゃん💭

重低音に惹かれた。

ㅤ https://t.co/VX5UevsYSA

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