ヘッドフォンはじめてガイド

ヘッドフォンはじめてガイド

ヘッドフォン店舗直販売店

ご覧いただきありがとうございます。

KIRIです。

はじめましての方はをどうぞ。

******

※うつ病に関しては、あくまで私の目にうつる夫の姿と、ネット上の知識程度で素人が書いたものです。

人によって全然違うと思うので、病状に関しては参考にしないでくださいね。

【不倫発覚0日目】

無言のまま向き合って座って、どれくらい経ったかな。

10分くらいかな?

もっと短かったかもしれない。

はじめはとっても息苦しそうにしていた夫の呼吸が落ち着き、

『ごめん。もう大丈夫。ごめんね。』

と言われたので、私は一人、寝室へと上がっていった。

当然眠れるはずもなく、ベッドに横になり、うつ病について調べたりしていた。

思い当たることは、たくさんあった。

半年ほど前、いいヘッドフォンが欲しい、と購入した夫。

周囲の音が全く聞こえなくなる機能の付いたものを買っていた。

お仕事中にこれしようかな、と言ってた。

うつ病の人は、一人になりたいと強く思う、とネットに書いてあった。

お休みの日も、ひたすらお昼寝をしたり、夜眠れないと言っていたり。

スマホで動画を見たり、ネットサーフィンしたりする時間も、どんどん長くなっていった。

私はそれを、家族にもう興味がなくなったんだと思っていた。

でも。

病気の症状だったのかも、しれない。

いつからなのかとか、もっと詳しく夫に聞かないと分からないけれど。

一人で出かけてくる、と言い出せない夫にとって、ヘッドフォンをしてスマホを見ている時間は、自分を保つためにどうしても必要なことだったのかもしれない。

でも、私はそれを、家族に対する拒絶なのだと受け取っていた。

それならもういい、と勝手に拗ねて、私だって大変だ!アピールばかりしていたように思う。

ものすごく居心地が悪かったと思う。

うつ病の人は性欲がなくなる、という情報もあった。

うつ病の人は不倫に走りやすい、という記事もあった。

あくまでネット上の情報で、みんながみんなそうではないと思うし、その信憑性は、わからないけど。

病気で、自分の存在を否定して苦しくて、そんなときに男として自分を求められたらなびいてしまう。

恋愛をすることで快楽ホルモンが出て、一時的にうつがおさまる。

そんな内容だった。

夫は、不倫をするような人ではなかった。

どうでもいい相手に言い寄られて、浮かれて過ちを犯しちゃうような人じゃなかった。

本当に大事なものが何か、ちゃんとわかっている人だった。

そんなところを尊敬していたし、大好きだった。

そんな風に思っていた自分がバカみたいだ、と最初は思った。

夫は浮気をしてしまうような人だったんだ…

そんな人を信じて大好きでいたなんて、情けない…

と思った。

でも、少し頭が冷静になってみると

本来はそんなことするはずのない夫が、そこまで弱っていた。

そしてそれを、こうなるまで私に言うこともできず苦しんでいた。

夫のことを見ていなかったのは、私の方…??

いや、本当は、気が付いていた。

夫が仕事でひどく疲弊していること。

大好きな家族との時間も、楽しく過ごせないほどになっていること。

分かっていた、のに。

夫の弱さを許さなかったのは、私。

お互いに、お互いを見れなくなっていた。

そんなむなしさを、私は、大好きな仕事で紛らわすことができた。

心を開ける友達のおかげで、ごまかすことができた。

私はたまたま、世間的には悪とされない方法で、そのむなしさを埋めることができた。

そして夫にとっては、たまたま、やり場のない気持ちの逃げ道が不倫だった。

きっと夫は、ここまでの事態にならなければ、自分の病気のことを私に打ち明けられなかっただろう。

そう思うと、今回私に起こったことは全て必然なのかと思えた。

私たち夫婦にとって、いや、私にとって、必要なことだったんだと思った。

居心地の悪さをごまかして生活していたのは、私も同じだった。

楽しい時間だって、もちろんあった。

週末になると、お庭で、家にあるものを七輪で焼きながら、お昼過ぎから一緒にビールを飲んだ。

次男も生まれて、幸せだと、私は思ってた。

でも。

毎日、今日も幸せだった!!と思って眠りについていたかといわれると、決してそうではなかった。

そんなの全員そうでしょ、と言われれば、そうなのかもしれないけど。

そうやって生きていきたいと強く思いながら、そうではない現実を、見て見ぬふりをしていた。

そう思うと、今回の出来事は、私がこれまで自分をごまかしてきたから、そうじゃないよ、ここらへんで軌道修正するんだよ、って、人生のテコ入れが入っただけ。

そして今この瞬間も、私はただ、さらなる幸せに向かって歩いてるんだ。

まだ頭も心も混乱している中で、そんな確かな感覚があった。

もうすこし、悲しみに浸っててもいいんじゃないの!?と思う私もいるんだけど。

不倫されたから不幸、なんじゃない。

離婚することが不幸、なんじゃない。

自分が自分を不幸だと思うから不幸になるだけだし、もっと言うなら、自分を不幸だと思っていたって、いい。

それすらも、すべて、幸せへ向かう道。

現実がどうあっても、私は、幸せにしかならないんだ。

私が、私を幸せにする
んだ。

そう、思った。

これまで、スピリチュアルカウンセラーとして活動する中で学んできた、心のしくみのこと、この世界がどう作られているのかという話、お仕事でたくさんの人と話をさせてもらって感じてきたこと。

それが、こんな形で今、私を支えてくれるのか、と思った。

そして私がそんな経験をしてこられたのは、紛れもなく、夫のおかげなんだ。

夫が、私が安心して好きなように仕事ができる基盤を整えてくれていたから。

自分を壊してまで、家族がなんの心配もなく好きなことをして暮らせる安心を与えてくれていたから。

…そんなことを考えていると、一階から、ガタン!と大きな音が聞こえてきた。

ヘッドフォンをエコロジーのアプローチで考えて何かいいことあるの?

*本記事は、2018年2月22日に公開した記事を加筆・訂正したものです。最後にボーナス・トラック2曲を除く全14曲の対訳をリンクしています。

ビヨンセ(Beyoncé)がスーパーボウルのハーフタイムショーでしてから2年が経った。アンアポロジェティックにブラック・エクセレンスを賛美する同パフォーマンスもあり、2016年2月が白人史上主義者にとって史上最悪の黒人歴史月間(Black History Month)だと言われたことも記憶に新しい。彼女は同年4月にアルバムをリリース。黒人女性としてのストラグルを描き切った同作が、2016年を代表する一枚となったことは言うまでもないが、その始まりはやはり同年の2月であった。

しかし、本年(2018年)の2月は、これまでのところ、その「史上最悪」を更新しつつあるようにもみえる。なにしろ、マーベル初の黒人ヒーローを据えた映画が公開され、これが記録的な大ヒットとなっているばかりでなく、すこぶる好評なのだ。やを手がけたライアン・クーグラー監督の同作は、3月1日(木)より日本でも公開される。同作については2月26日(月)掲載予定の別稿を読んでいただきたく、本記事で詳しく触れることはしないが、ぜひとも劇場に足を運んで観てほしい。アクションやユーモアといった要素に加え、同作のポジティブなメッセージは、ここ日本でも多くの人々の胸に響くものと信じている。なお、同作のオフィシャル・サウンドトラックのプロダクションを任されたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と、所属レーベルTDE (Top Dawg Entertainment)のCEO=アンソニー・”トップ・ドッグ”・ティフィス(Anthony “Top Dawg” Tiffith)は、南アフリカのアーティスト4人を起用。こちらも映画と同様、ブラック・エクセレンスを体現するかのような内容となっており、映画とも密接にリンクしている。

クレンショーからの戦略的遅咲きデビュー

さて、そんな今年の黒人歴史月間であるが、LAはクレンショー出身の一人のラッパーが祝福の時を迎えたことも忘れてはならない。ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)が待望のデビュー・アルバム『Victory Lap』をリリースしたのだ。

Nipsey Hussle,

Image via iTunes

ニプシーのメジャー・デビューまでの道程を簡単に振り返っておこう。彼のメジャー・デビュー作は当初『South Central State of Mind』と題されており、2010年10月19日にリリースされる予定であった[1]。当時の彼は、クリップス出身であることに加え、そのひょろっとした体型もあり、次世代のスヌープ・ドッグと目されていた。オートチューン全盛の時代にあってストリートを体現する生々しいラップは高く評価されており、ケンドリック・ラマーが有名になる前、西海岸の新世代(ニュー・ウェスト)の中心人物だったと言っても過言ではない。大手エピックレコードからのメジャー・デビューが幻と消えてしまってから今まで7年以上もの間、彼は一体何をしていたというのか。これまでの道のりを「マラソン」と形容する彼は、昨年12月に出演したPower 106の『The Cruz Show』で、以下のように話している[2]。
俺はコントロールすること、公平なオーナーシップを持つことには本当に拘ってきた。これ(=今回の大手レーベルとの契約)はネクスト・レベルでのパートナーシップなんだ。やるべき仕事は山ほどあった。伝統的な、いわば産業の「エゴ・システム」の外で、価値を築かなきゃいけなかったんだよ。それがあるレベルに達して初めて、俺らの求めるものが意味をなした。(パートナーに求めるものを)正当化できるレベルになったんだ。
《中略》
俺のやり方でやるってことが重要だった。俺は自分のキャリアを賭けたんだ。こんなふうにならないなら、望んでなかった。
ニプシーがどれだけ自分のブランドを築くことに拘ってきたかが、この発言でよく解る。彼が言うところの「エゴ・システム」に搾取されることなく、ブランドを築いてきたラッパーは他にもいる。ジェイ・Z(JAY-Z)はその最たる例で、最新作収録の「The Story of O.J.」では、自らの経験を踏まえて投資の重要性を説いている。カニエ・ウェスト(Kanye West)も、既存のアフリカ系アメリカ人のイメージを覆すような言動や作品でファンベースを築いてきた、唯一無二のアーティストだ。ドクター・ドレー(Dr. Dre)だって、音楽で自身のブランドを築いてヘッドフォンまでプロデュースし、億万長者のリスト入りを果たした、コンプトン生まれのスーパースターだ。彼らもまた、ニプシー同様に大きなビジョンを描いて活動してきたからこそ今があるのだろう。

軸足をフッドに

諸先輩と同様に戦略的な「マラソン」で確かなブランドを築いたニプシーだが、今でもフッドに軸足を置いているようだ。『Victory Lap』の先行シングルである「Rap Ni**as」では、「俺はお前らみたいなファッキン・ラップ野郎とは違うんだ」とスピットしており、自分の出自があくまでストリートであることを強調している。
Nipsey Hussle – Rap Niggas

また、地元であるクレンショー・ブルヴァードとスローソン・アヴェニューの交差点付近には、彼が運営するアパレル・ブランド=ザ・マラソン・クロージング(The Marathon Clothing)のショップがあり、彼自身もよく訪れるという。そこからすぐ近くにあるファット・バーガーの制服も、彼のブランドのものだ[3]。同店舗には彼の写真が飾ってある。
筆者撮影(2015年9月)
この先、彼がさらに稼いだらどうなるのかは分からないが、今でもフッドに軸足を置いている点は、上述の先輩ラッパーたちとの明確な違いだといえよう。前出のインタビューで「論理よりも感情を重んじる」と話しているニプシーは、今でも地元の人々とのコネクションを重んじているのだ。

Fuel for Everyone Gettin It

そんなニプシーのアルバムだけあって、『Victory Lap』は実にエモーショナルで、モチベーショナルで、インスピレーショナルだ。ヒップホップ・ジャーナリストのロブ・マークマン(Rob Markman)は、同作を「何かを手に入れようとする全ての人にとっての燃料」と形容している。

彼の言葉どおり、同作は何らかのストラグルを経験
ている全ての人、特に若き日のニプシーと同じ境遇にいるフッドの人々を鼓舞する内容となっている。アルバム全編にわたって、ニプシーはストリートやラップ・ゲームで生き抜くためのゲーム(知恵)をトロップしている。

フッド・ライフの描写

YGを客演に迎えた「Last Time That I Checc’d」では、フッドの日常を以下のように描写している。
Every nigga in the streets tryna feed the babies
The single mama’s workin’ hard not to miss a payment
And dirty money get washed on royalty statements
Black owners in this game are powerful racists
(ストリートの奴はみんなガキに食わせようとし
 シングルマザーも支払に遅れないよう必死
 汚い金はロイヤルティー報告書で流されちまう
 ゲームの黒人オーナーは強大なレイシスト)

こうした日常を、ニプシー自身も経験してきたのだろう。ホーミーへの愛を忘れないニプシーは、「Young Ni**a」で、危ない目に遭った自分を友人が助けてくれたエピソードも披露する。

Remember I was on the run, nigga

Couple years before you had a son, nigga

Open up your doors and kept it one with me

Held a nigga down and that was love, nigga

(俺が逃げてたの、憶えてるか?

 お前の息子が生まれる数年前だ

 お前はドアを開けて俺を入れて

 匿ってくれたな、あれは愛だった)

さらに、「Real Big」では以下のようなことも語っている。彼の育った環境がいかに荒廃したものだったかが窺えるとともに、それでも信念を持ってやり続ければ光が見えるかもしれないと、同じ境遇にいるリスナーは勇気づけられるにちがいない。

High school, didn’t go

Couldn’t understand my plan, now you niggas know

Self made, well paid

I’m from where they tell you never touch the shell case

I’m from where they teach you never trust a pale face

(高校には行かなかった

 俺のプランが今なら分かるだろ

 セルフ・メイドでよく稼いだ

 薬莢を触るなって言われたし

 白人を信じるなって言われた、そんな育ちさ)

グラインドの日々

では、ニプシーはそんな環境からいかにして抜け出したのだろうか。その答えは「グラインド」一択である。その努力には自負があるようで、「Grinding All My Life」では以下のように語っている。

I don’t know a nigga like myself

I say self-made, meanin’ I designed myself

(俺みたいな奴なんて他に知らない

 俺がセルフ・メイドって言うのは、自分をデザインしたって意味)

さらに、「Million While You Young」では

Can’t be actin’ like a bitch tryna get saved, bruh

Get that dirt up off your shoulder, step yo game up

(救われたいビッチみたく振る舞ってらんないぜ

 ネガティビティを払い、ゲームを駆け上がる)

ともラップしており、成功に向けての執念が並大抵のものでなかったことを窺わせる。

高い場所からのエール

ニプシーは今でもハッスルしているが、それだけではない。現在の地位を手に入れたニプシーにとっては、人々をモチベートすることも関心事だ。だから、「Hussle & Motivate」でこんなことを言っている。

Pull up in motorcades, I got a show today

It’s all I’m tryna do, hustle and motivate

Choppers and throwaway, hustle the Hova way

That’s why they follow me, huh, they think I know the way

(自動車行列に車を停める、今日はショウがある

 俺がやりたいのはハッスルとモチベートだけ

 銃と使い捨てのものでホヴァみたくハッスル

 だからみんなついてくる、道を知ってるぜ)

ハッスル/グラインドを経て成功したニプシーは、その位置からの景色を、タイトル・トラックで誇らしげにラップする。

Flew to Cancun, smokin’ Cubans on the boat

And docked at Tulum just to smoke

Listening to music at the Mayan Ruins

True devotion on the bluest ocean, cruisin’

(カンクンに飛んで、船でキューバの葉巻を吸う

 トゥルムに着けて一服だけした

 マヤ遺跡で音楽を聴いてる

 真っ青な海に愛情を捧げてクルーズするんだ)

ここでの「真っ青な海」はお金のことを指す(新しい100ドル札は青いことから)と考えられるが、その前段で様々な地名を列挙していることも注目に値する。フッドだけでない広い世界をホーミーたちに見せようとしているかのようだ。

そして、そんなニプシーからのメッセージが最高にエモーショナルなのが「Dedication」だ。

This ain’t entertainment, it’s for niggas on the slave ship

These songs just the spirituals I swam against them waves wit

Ended up on shore to their amazement

I hope the example I set’s not contagious

Lock us behind gates but can’t tame us

(これはエンターテインメントじゃない、奴隷船に乗った奴らに捧げる

 これらの聖歌を聴いて、俺は荒波に向かって泳いだんだ

 奴らの驚くことに岸に辿り着いたさ

 俺が示した例が流行に終わらないことを願う

 俺らは門の奥で囚われても、手懐けられない)

新しいブラック・エクセレンスのかたち

ニプシーが今作で示したようなハッスル&グラインドの精神は、誰もが持ちうるものだ。それだけに、『Victory Lap』のメッセージは万人に響きうるものだといえる。ただ、中でも彼のメッセージが最も響くのは、やはり彼と同じくフッドに暮らす黒人たちにであろう。今でも身近な存在であるニプ
シーの活躍を間近で見て、インスパイアされるキッズは少なくないはずだ。
目の前のことに惑わされず、あくまで戦略的に自分のブランドを築く。従来のやり方には囚われない。同時に、フッドに軸足を置き、そこに暮らす人々への愛や情熱を忘れない。自らの出自を誇る。幻の『South Central State of Mind』から約8年越しのメジャー・デビューを果たしたニプシー・ハッスルは、このようにして新たなブラック・エクセレンスのかたちを示したといえるだろう。一人のロールモデルが生まれたクレンショーから、彼にインスパイアされた次なるスターが誕生する日は、もう目の前まで迫っているのかもしれない。

対訳

  1. *
  2. Double Up (feat. Belly & DOM KENNEDY)**
  3. Right Hand 2 God**

*洋楽ラップを10倍楽しむマガジンにリンクしています

**都合上、対訳を掲載しておりません

〜出典〜

[1] 
[2] 
[3] 

みんなのヘッドフォン

*本記事は、2018年2月22日に公開した記事を加筆・訂正したものです。最後にボーナス・トラック2曲を除く全14曲の対訳をリンクしています。

ビヨンセ(Beyoncé)がスーパーボウルのハーフタイムショーでしてから2年が経った。アンアポロジェティックにブラック・エクセレンスを賛美する同パフォーマンスもあり、2016年2月が白人史上主義者にとって史上最悪の黒人歴史月間(Black History Month)だと言われたことも記憶に新しい。彼女は同年4月にアルバムをリリース。黒人女性としてのストラグルを描き切った同作が、2016年を代表する一枚となったことは言うまでもないが、その始まりはやはり同年の2月であった。

しかし、本年(2018年)の2月は、これまでのところ、その「史上最悪」を更新しつつあるようにもみえる。なにしろ、マーベル初の黒人ヒーローを据えた映画が公開され、これが記録的な大ヒットとなっているばかりでなく、すこぶる好評なのだ。やを手がけたライアン・クーグラー監督の同作は、3月1日(木)より日本でも公開される。同作については2月26日(月)掲載予定の別稿を読んでいただきたく、本記事で詳しく触れることはしないが、ぜひとも劇場に足を運んで観てほしい。アクションやユーモアといった要素に加え、同作のポジティブなメッセージは、ここ日本でも多くの人々の胸に響くものと信じている。なお、同作のオフィシャル・サウンドトラックのプロダクションを任されたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と、所属レーベルTDE (Top Dawg Entertainment)のCEO=アンソニー・”トップ・ドッグ”・ティフィス(Anthony “Top Dawg” Tiffith)は、南アフリカのアーティスト4人を起用。こちらも映画と同様、ブラック・エクセレンスを体現するかのような内容となっており、映画とも密接にリンクしている。

クレンショーからの戦略的遅咲きデビュー

さて、そんな今年の黒人歴史月間であるが、LAはクレンショー出身の一人のラッパーが祝福の時を迎えたことも忘れてはならない。ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)が待望のデビュー・アルバム『Victory Lap』をリリースしたのだ。

Nipsey Hussle,

Image via iTunes

ニプシーのメジャー・デビューまでの道程を簡単に振り返っておこう。彼のメジャー・デビュー作は当初『South Central State of Mind』と題されており、2010年10月19日にリリースされる予定であった[1]。当時の彼は、クリップス出身であることに加え、そのひょろっとした体型もあり、次世代のスヌープ・ドッグと目されていた。オートチューン全盛の時代にあってストリートを体現する生々しいラップは高く評価されており、ケンドリック・ラマーが有名になる前、西海岸の新世代(ニュー・ウェスト)の中心人物だったと言っても過言ではない。大手エピックレコードからのメジャー・デビューが幻と消えてしまってから今まで7年以上もの間、彼は一体何をしていたというのか。これまでの道のりを「マラソン」と形容する彼は、昨年12月に出演したPower 106の『The Cruz Show』で、以下のように話している[2]。
俺はコントロールすること、公平なオーナーシップを持つことには本当に拘ってきた。これ(=今回の大手レーベルとの契約)はネクスト・レベルでのパートナーシップなんだ。やるべき仕事は山ほどあった。伝統的な、いわば産業の「エゴ・システム」の外で、価値を築かなきゃいけなかったんだよ。それがあるレベルに達して初めて、俺らの求めるものが意味をなした。(パートナーに求めるものを)正当化できるレベルになったんだ。
《中略》
俺のやり方でやるってことが重要だった。俺は自分のキャリアを賭けたんだ。こんなふうにならないなら、望んでなかった。
ニプシーがどれだけ自分のブランドを築くことに拘ってきたかが、この発言でよく解る。彼が言うところの「エゴ・システム」に搾取されることなく、ブランドを築いてきたラッパーは他にもいる。ジェイ・Z(JAY-Z)はその最たる例で、最新作収録の「The Story of O.J.」では、自らの経験を踏まえて投資の重要性を説いている。カニエ・ウェスト(Kanye West)も、既存のアフリカ系アメリカ人のイメージを覆すような言動や作品でファンベースを築いてきた、唯一無二のアーティストだ。ドクター・ドレー(Dr. Dre)だって、音楽で自身のブランドを築いてヘッドフォンまでプロデュースし、億万長者のリスト入りを果たした、コンプトン生まれのスーパースターだ。彼らもまた、ニプシー同様に大きなビジョンを描いて活動してきたからこそ今があるのだろう。

軸足をフッドに

諸先輩と同様に戦略的な「マラソン」で確かなブランドを築いたニプシーだが、今でもフッドに軸足を置いているようだ。『Victory Lap』の先行シングルである「Rap Ni**as」では、「俺はお前らみたいなファッキン・ラップ野郎とは違うんだ」とスピットしており、自分の出自があくまでストリートであることを強調している。
Nipsey Hussle – Rap Niggas

また、地元であるクレンショー・ブルヴァードとスローソン・アヴェニューの交差点付近には、彼が運営するアパレル・ブランド=ザ・マラソン・クロージング(The Marathon Clothing)のショップがあり、彼自身もよく訪れるという。そこからすぐ近くにあるファット・バーガーの制服も、彼のブランドのものだ[3]。同店舗には彼の写真が飾ってある。
筆者撮影(2015年9月)
この先、彼がさらに稼いだらどうなるのかは分からないが、今でもフッドに軸足を置いている点は、上述の先輩ラッパーたちとの明確な違いだといえよう。前出のインタビューで「論理よりも感情を重んじる」と話しているニプシーは、今でも地元の人々とのコネクションを重んじているのだ。

Fuel for Everyone Gettin It

そんなニプシーのアルバムだけあって、『Victory Lap』は実にエモーショナルで、モチベーショナルで、インスピレーショナルだ。ヒップホップ・ジャーナリストのロブ・マークマン(Rob Markman)は、同作を「何かを手に入れようとする全ての人にとっての燃料」と形容している。

彼の言葉どおり、同作は何らかのストラグルを経験
ている全ての人、特に若き日のニプシーと同じ境遇にいるフッドの人々を鼓舞する内容となっている。アルバム全編にわたって、ニプシーはストリートやラップ・ゲームで生き抜くためのゲーム(知恵)をトロップしている。

フッド・ライフの描写

YGを客演に迎えた「Last Time That I Checc’d」では、フッドの日常を以下のように描写している。
Every nigga in the streets tryna feed the babies
The single mama’s workin’ hard not to miss a payment
And dirty money get washed on royalty statements
Black owners in this game are powerful racists
(ストリートの奴はみんなガキに食わせようとし
 シングルマザーも支払に遅れないよう必死
 汚い金はロイヤルティー報告書で流されちまう
 ゲームの黒人オーナーは強大なレイシスト)

こうした日常を、ニプシー自身も経験してきたのだろう。ホーミーへの愛を忘れないニプシーは、「Young Ni**a」で、危ない目に遭った自分を友人が助けてくれたエピソードも披露する。

Remember I was on the run, nigga

Couple years before you had a son, nigga

Open up your doors and kept it one with me

Held a nigga down and that was love, nigga

(俺が逃げてたの、憶えてるか?

 お前の息子が生まれる数年前だ

 お前はドアを開けて俺を入れて

 匿ってくれたな、あれは愛だった)

さらに、「Real Big」では以下のようなことも語っている。彼の育った環境がいかに荒廃したものだったかが窺えるとともに、それでも信念を持ってやり続ければ光が見えるかもしれないと、同じ境遇にいるリスナーは勇気づけられるにちがいない。

High school, didn’t go

Couldn’t understand my plan, now you niggas know

Self made, well paid

I’m from where they tell you never touch the shell case

I’m from where they teach you never trust a pale face

(高校には行かなかった

 俺のプランが今なら分かるだろ

 セルフ・メイドでよく稼いだ

 薬莢を触るなって言われたし

 白人を信じるなって言われた、そんな育ちさ)

グラインドの日々

では、ニプシーはそんな環境からいかにして抜け出したのだろうか。その答えは「グラインド」一択である。その努力には自負があるようで、「Grinding All My Life」では以下のように語っている。

I don’t know a nigga like myself

I say self-made, meanin’ I designed myself

(俺みたいな奴なんて他に知らない

 俺がセルフ・メイドって言うのは、自分をデザインしたって意味)

さらに、「Million While You Young」では

Can’t be actin’ like a bitch tryna get saved, bruh

Get that dirt up off your shoulder, step yo game up

(救われたいビッチみたく振る舞ってらんないぜ

 ネガティビティを払い、ゲームを駆け上がる)

ともラップしており、成功に向けての執念が並大抵のものでなかったことを窺わせる。

高い場所からのエール

ニプシーは今でもハッスルしているが、それだけではない。現在の地位を手に入れたニプシーにとっては、人々をモチベートすることも関心事だ。だから、「Hussle & Motivate」でこんなことを言っている。

Pull up in motorcades, I got a show today

It’s all I’m tryna do, hustle and motivate

Choppers and throwaway, hustle the Hova way

That’s why they follow me, huh, they think I know the way

(自動車行列に車を停める、今日はショウがある

 俺がやりたいのはハッスルとモチベートだけ

 銃と使い捨てのものでホヴァみたくハッスル

 だからみんなついてくる、道を知ってるぜ)

ハッスル/グラインドを経て成功したニプシーは、その位置からの景色を、タイトル・トラックで誇らしげにラップする。

Flew to Cancun, smokin’ Cubans on the boat

And docked at Tulum just to smoke

Listening to music at the Mayan Ruins

True devotion on the bluest ocean, cruisin’

(カンクンに飛んで、船でキューバの葉巻を吸う

 トゥルムに着けて一服だけした

 マヤ遺跡で音楽を聴いてる

 真っ青な海に愛情を捧げてクルーズするんだ)

ここでの「真っ青な海」はお金のことを指す(新しい100ドル札は青いことから)と考えられるが、その前段で様々な地名を列挙していることも注目に値する。フッドだけでない広い世界をホーミーたちに見せようとしているかのようだ。

そして、そんなニプシーからのメッセージが最高にエモーショナルなのが「Dedication」だ。

This ain’t entertainment, it’s for niggas on the slave ship

These songs just the spirituals I swam against them waves wit

Ended up on shore to their amazement

I hope the example I set’s not contagious

Lock us behind gates but can’t tame us

(これはエンターテインメントじゃない、奴隷船に乗った奴らに捧げる

 これらの聖歌を聴いて、俺は荒波に向かって泳いだんだ

 奴らの驚くことに岸に辿り着いたさ

 俺が示した例が流行に終わらないことを願う

 俺らは門の奥で囚われても、手懐けられない)

新しいブラック・エクセレンスのかたち

ニプシーが今作で示したようなハッスル&グラインドの精神は、誰もが持ちうるものだ。それだけに、『Victory Lap』のメッセージは万人に響きうるものだといえる。ただ、中でも彼のメッセージが最も響くのは、やはり彼と同じくフッドに暮らす黒人たちにであろう。今でも身近な存在であるニプ
シーの活躍を間近で見て、インスパイアされるキッズは少なくないはずだ。
目の前のことに惑わされず、あくまで戦略的に自分のブランドを築く。従来のやり方には囚われない。同時に、フッドに軸足を置き、そこに暮らす人々への愛や情熱を忘れない。自らの出自を誇る。幻の『South Central State of Mind』から約8年越しのメジャー・デビューを果たしたニプシー・ハッスルは、このようにして新たなブラック・エクセレンスのかたちを示したといえるだろう。一人のロールモデルが生まれたクレンショーから、彼にインスパイアされた次なるスターが誕生する日は、もう目の前まで迫っているのかもしれない。

対訳

  1. *
  2. Double Up (feat. Belly & DOM KENNEDY)**
  3. Right Hand 2 God**

*洋楽ラップを10倍楽しむマガジンにリンクしています

**都合上、対訳を掲載しておりません

〜出典〜

[1] 
[2] 
[3] 


ヘッドフォン 関連ツイート

RT @gtbh_present: ⭐️Xcoser 五等分の花嫁 中野三玖 ヘッドフォン コスプレ ブルートゥース コンバーター付き アニメ グッズ⭐️

抽選で3名様にプレゼント‼️

🎁応募方法
 フォロー&RT

🎁当選発表
 DMで行います

🎁締切
 4/12…

RT @gtbh_present: ⭐️Xcoser 五等分の花嫁 中野三玖 ヘッドフォン コスプレ ブルートゥース コンバーター付き アニメ グッズ⭐️

抽選で3名様にプレゼント‼️

🎁応募方法
 フォロー&RT

🎁当選発表
 DMで行います

🎁締切
 4/12…

【vr ゴーグル スマホ】3D メガネ 日本語取扱説明書付き スマホ 3d ゴーグル vr ヘッドセット 4- 6インチのスマートフォン 仮想現実グラス [楽天] https://t.co/qyhexDjW1P #rakuafl https://t.co/shV9lOPKTr
眠いなぁ…
久しぶりに1駅分歩いたからなぁ…

そういえばワタルのヘッドフォン宅配ボックスに届いていたんだけど不在票入ってなかったのよね…
宅配ボックスは家庭に通知が来るから確実に受け取れたけど、以前他人の荷物入ってた事もあるから気を付けないと…

で、不在票無いのはどうしよう?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする