夏休みだよショッピングガイド
ピンポンピンポン!
ガシャガシャ!
チャイムを鳴らして玄関の開き戸を揺らすと
ガラガラガラ・・、鍵はかかってなくてあっけなく開いた。
「先生!」
でかい声で呼んでも誰も出てこなくて
いよいよこれは取り込み中か・・、と変な汗が出る。
もしそうだとしたら、ただの生徒である自分がそんな場面に乗り込んで邪魔をするなんて、していいはずがない。
ここまで来ておいたくせに怖気づいて、思わず玄関に座り込んだ時
「雅紀〜?どこ行って・・」
背後から呑気な先生の声がして振り返ると
「櫻井!?」
先生が驚いて、手にしていた紫陽花の花をバサバサと落とした。
「・・先生」
「さ、櫻井・・何で?」
シャツに膝丈パンツの、過去イチラフな格好の先生が呆然と目を丸くして突っ立ってる。
「・・えっと、さっき電話したら、先生じゃない人が出て・・」
「電話?」
「足、もう何ともないって、伝えようと思って」
「え?足?もう大丈夫なの?」
「そんで、先生が」
噛み合ってない会話に、何でかうまく言葉が続かない。
「やめてって・・言ってんのが聞こえた、から」
・・あれ?なんか俺、泣きそう・・
「櫻井・・?」
まだ訳がわからないって感じの先生が、俺の異変を感じたのか
「えっと・・、とにかく上がってて?
俺ちょっとこれ生けてくるから」
落ちた紫陽花を拾うと、そう言って中に入って行く。
後に続くように部屋に入り、リビングで待ってようかと思ったけれど
ずっとダッシュでここまで来たせいか喉がカラカラで、水をもらおうとキッチンを覗いた。
シンクの上に置いた花瓶に、紫陽花の茎をチョキチョキ切って入れてる先生の横顔に
「先生?」
声をかけると
「わあ!」
声を上げて驚くから
「・・ごめん、水もらっていい?」
「・・ど、どうぞ・・」
何だか挙動不審に手渡されたグラスの水を飲みながら
「ソレ、綺麗だね」
先生が花を生けてる花瓶を指差すと
「庭に咲いてた紫陽花だよ。もう花の終わりだから、これが最後のコたち」
「・・ふうん」
のろのろと、全部の紫陽花を入れ終わってもその場を動かない先生。
「紫陽花って色んな種類があるんだね」
なんて花を見るふりをして近づいて、隣に立ってシンクに手を置く。
「・・ところでマサキさんは?」
「さっき、すぐ戻るって出てったけど・・。
どうして雅紀のこと?」
「電話に出たの、マサキさんでしょ」
「ごめん、庭に出てたから知らなくて」
「あっ!そうだ、あれから大丈夫だった!?」
「な、何が?」
「何って、だから、」
「あの、あんまり近くで大きい声出さないでくれる?ちょっと頭が痛くて、響くから・・」
ああ、先生二日酔いだっけ」
「・・・。何でそんなこと」
「大野先生が言ってた」
「智が!?な、何で?」
「何でって・・、ベロベロになるまで飲んだんでしょ?」
「〜〜・・っ//」
信じられないとうように目を見開いた先生が顔を赤くして
「・・他に何か言ってた?」
・・ん?この反応・・
ーーもしかして。
「・・まあね」
「ウソ!なに?何言ったの?」
「・・・」
黙って先生を見つめると
「・・まさか」
顔色を変えて
「違うからね?
智が何か変なこと言ったかもしれないけど、違うから」
思わず俺の腕を掴んで、しどろもどろになって弁解してる。
「・・先生、ホント隠すの下手だね」
「違うって!誤解だから、」
「誤解って何が?」
「だから櫻井のこと、」
「俺のこと?」
「・・っ!」
しまったというように口を押さえる先生の手を取り、そのまま握ってシンクに押し当てる。
「ねえ先生」
「・・な、何」
「夏休みだよ」
「・・え?」
「先生だって、今はお休み。・・でしょ?」
先生を囲うようにシンクに両手をついて
その肩に顎を置いて、囁いたら
ぴくん、と先生の身体が小さく跳ねた。
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